Q & A

Q1
そもそもデータサイエンスって何?
ICT(情報通信技術)の進歩によって、たくさんの「データ」を容易に集めることが可能になりました。いわゆるビッグデータの登場です。ビッグデータには様々な「情報」が隠れています。「データ」と「情報」を明確に区別することは難しいかもしれませんが、ここでは、「データ」とは単純に、収集された数値や文字のこと、「情報」とは「データ」から読み取られることで人にとって何かしらの利用価値をもったもの(ことがら)と理解してください。例えば、自動車のGPSデータは、それ自体は数値でしかありませんが、地図と照合すれば即座に位置情報となりますし、さらにその変化を分析することや、他の自動車のGPSデータと組み合わせることで、渋滞情報のような利用価値のあるものに変わります。ここで大事になるのは、「データ」からいかにして「情報」を取り出すかというところ。「データ」からどのような「情報」が得られるかは、どのような「データ」であるかだけでなく、どのような方法で「データを読み解いたか」にも依存します。データサイエンスは、「データの読み解き方」、さらには、「得られた情報の活用の仕方」について、「サイエンス」の立場から取り組もうとする学問です。現代社会は、情報化社会とも呼ばれる「情報がたくさんあって、その情報を上手に活用して成り立っている社会」です。データサイエンスは、その情報化社会を支える学問の一つと言えるでしょう。
Q2
南山大学理工学部のデータサイエンス学科ってどんな学科ですか?
「データ」や「情報」は文理問わず必要とされるでしょう。ですので、データサイエンスが活躍できる場面は文理問わず存在することでしょう。そのため、データサイエンスに文理融合的な側面があるところは確かです。しかし、「データ」からどのようにして「情報」を読み取るか、という「方法」に焦点を当ててみると、それらの方法は「数理技術」とでも呼べるような「数学を駆使することによってできた技術」であることに気がつきます。南山大学理工学部のデータサイエンス学科は、そのような「数理技術」を中心に勉強・研究する学科です。それゆえに理工学部の中に位置付けられています。一般入試では数IIIも課していますので、南山大学のデータサイエンス学科を目指す方は、理系の勉強をしっかり進めてきてください。また、「数理技術」を用いて実際にデータを処理する際には、コンピュータが欠かせません。自分でプログラムを書く必要もあるでしょう。南山大学のデータサイエンス学科は、理工学部の中にあるために、プログラミングについても、その基礎から体系的に学ぶことが可能です。
Q3
どんな数理技術を学ぶの?
南山大学のデータサイエンス学科では、数理技術の中でも、統計学、オペレーションズ・リサーチ、機械学習の3つの分野に特に重点を置いています。それらがデータサイエンスを支える中心的な役割を果たしていると考えるからです。

統計学はデータの中から意味のあることを探し出すのに大いに役立ちます。メーカーでは新製品を開発する際に初めから希望したとおりの製品ができるわけではありません。製品を検査してたくさんのデータが得られたとしても不良品がなぜ起こったのかという理由が分からなければ意味がありません。ただ実験を繰り返すだけで製品を仕上げていくのはとても非効率です。物事が偶発的なのか、はたまた原因があって生じていると考えるのが妥当なのか。統計学が、それに答えてくれます。統計学を用いたデータ解析が上手に行えることが、メーカーが成長してく上での必須の条件になってきています。

オペレーションズ・リサーチ、略してORは、一般的な業務や、もっと大きく社会の仕組みをいかに効率よくするかということに関わっています。例えば、高速道路の料金所はいくつ開けておくと渋滞がなくなり、無駄な燃費を減らせるのか、救急車の受け持ち範囲はどのように区切れば一番長く待たせることになる人の時間を短縮できるか、といった具体的な応用がたくさんあります。企業でもこういった効率化をうまく取り入れたところほど効率的な経営ができるでしょう。

機械学習は、生成AIを含む人工知能とも関連が深く、コンピュータ(=「機械」)に「学習」する環境を提供し、学習の結果、データに基づく判断や予測を人に代わってコンピュータに行わせようとするものです。人工知能と聞くと、人の考え方を真似して判断や予測を行っていると思うかもしれませんが、学習や判断・予測はコンピュータにおける「計算」が実体ですので、極めて数学的であったり、計算機科学的なものになっています。学習そのものは、コンピュータが自動で行ってくれますが、どのような学習環境を用意するか、どのような基準で学習を進めるかなどは、人の方が決めなくてはなりません。そのためには、用意している・用意できる学習環境がどのようなもので、学習がどのように進むのかを数学的に知っておくことが必要でしょう。その際には、ベクトルの内積は、2つのベクトルの類似度を表すものである、などといった高校で学ぶ数学の内容を改めて解釈することが必要になったりします。
Q4
副専攻について知りたいのですが?
理工学部では2年生に上がるときに、学生の希望と成績に基づき、所属する学科以外の3学科の分野から副専攻とする分野を一つ決定します。その後は卒業までに、自分の学科だけでなく、副専攻とした学科の分野を重点的に学び、指定された数の単位を修得することになります。データサイエンス学科生が選ぶことになる他3学科について、データサイエンスとの関わりを中心に、次に説明します。

ソフトウェア工学は、ソフトウェアを一つの工業製品ととらえ、ソフトウェアだからこそ必要な開発や管理・運用の方法を工学的に体系化することを研究しています。データサイエンスとの関わりとして、近年、ソフトウェア開発等において生成AIが活用されていることが挙げられます。生成AIによって、プログラムコードの自動生成や、これまで発見できなかったようなバグを見つけることができるようになりました。そのような生成AIをどのように作成し改良していくのか、このような問題はデータサイエンスとしても興味深い課題だと思います。

電子情報工学が研究対象とするものには、データを収集するためのセンサや、データや情報を伝えるためのインターネットを代表とする情報通信インフラがあります。電子情報工学にもデータサイエンスを役立てることができる問題があります。例えば、センサで効率的・効果的にデータを収集するには、どこにどれくらいのセンサを配置するのが良いかといった問題や、携帯電話(スマホ)を対象に、途切れない通信を提供するには、基地局をどこに配置すべきかといった問題は、特にORで研究されてきた施設配置問題とも関連が深いものです。また、近年では、IoT機器に人工知能が組み込まれることも少なくありません。計算リソースに乏しい小さなIoT機器でもしっかり動く人工知能なども重要になっています。

機械システム工学では、現代の機械が物理機構の単なる集まりではなく、センサなどとも連動し、機械システムとでも呼ぶべき複雑な存在になっているとの認識の下、それをいかに思い通りに動かすか、すなわち、制御するかを研究しています。その際、センサで得られるのはデータでしかないわけですから、そこからどのような情報を取り出せるかが、機械の動きに関わってくると思えば、機械の制御にもデータサイエンスが必要であると理解できるでしょう。実際、すでに、自律的産業ロボットや自動車の自動運転などの実現には、データサイエンスで培われた技術が大きく関わっています。

以上のように3つの副専攻はどれもデータサイエンス学科との関わりが深く、1年生のうちにそれぞれの分野に触れてみて、自分にあったものを探してください。
Q5
データサイエンティストやデータアナリストはどういう人ですか?
「データサイエンティスト」や「データアナリスト」は、ここ数年で一般社会でも使われるようになった言葉かと思います。これらの言葉は一種の資格としての定義を持った形で話題に上がるときと、社会的(会社的)な役割からそれらに位置付けられる場合とさまざまですので、気をつける必要がありますが、データサイエンス学科というと、将来的にデータサイエンティストになることを目指した学生が集まるところとも思われるでしょうから、それらについて知っておくことは重要です。

まずデータアナリストですが、データサイエンス学科で養成しようとしている能力の一つであるデータ分析力を高いレベルで持つ人材です。統計学やOR、機械学習を単に知っているだけでなく、実際のデータに対してアプローチできる人材であることが重要です。そのため、プログラミング技術についても高い能力が要求されます。データサイエンス学科では、データサイエンスにおいて必要なプログラミングについても学びますので、将来、データアナリストになるための基礎を十分に築くことができると思います。

次にデータサイエンティストですが、資格的な話の場合、データアナリストとしてのデータ分析力(データサイエンス力)だけでなく他に2つの能力を身につけた人と定義されています。その2つとはIT力(データエンジニアリング力)とビジネス力です。IT力に関しては理工学部の授業にプログラミングに関する授業がありますし、データ分析に関わるデータベースの扱いなども他学科の専門科目を受講すれば身につけられることでしょう。ビジネス力は理工学部の授業だけで学ぶことはなかなか難しいかもしれませんが、経営学部などの授業を取りに行くと身につけることができるでしょう。

実際のところ、資格的なデータサイエンティストとしての3つの能力を高いレベルですべて備えたような人材は希少なくらいなのではないかと思います。それぞれが奥深い分野での能力ですので、簡単に身につけられるものではないからです。ですので、それぞれの分野に長けた人がチームを組んで仕事をするのがむしろ普通ではないでしょうか。そう考えると、3つの能力のいずれかに強みを持つ人材になることが大事ではないかと思います。データサイエンス学科の学生は、学科で提供される授業で一番伸ばすことができると考えられるデータ分析力を高めることをまずは目指すのが良いのではないかと思います。その上で、理工学部で次に身につけやすいのはIT力かと思います。ビジネス力は全学的な授業や経営学部の授業などで基礎を学ぶ程度となるでしょう。

「データサイエンティスト」や「データアナリスト」はいずれも専門性が高い人材です。そのような人材を目指すのであれば、専門性を高めるために、ぜひ、大学院へ進学してください。
メリット
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