山崎武(大阪府立大, 逆数学), 逆数学とその周辺
----------------------------------------
 逆数学は,大雑把にいうと,二階算術の枠組の中で,与えられた数学の定理に対し
て,それを証明するのに必要十分な部分体系を決定する試みである.例えば,「任意
の有界実数列は収束する部分列をもつ」というBolzano/Weierstrass の定理は($\rm
RCA\sb 0$ の下で)算術的内包公理と同値になる.つまり, $\rm ACA\sb 0$ (=
$\rm RCA\sb 0$ + 算術的内包公理) が,B/W の定理についての求めるような体系で
あることがわかるのである.
 最近,逆数学の発展として幾つかの新しい方向が考えられている.1つは,同値性
を示すための base theory を$\rm RCA\sb 0$ よりも弱い体系を用いることである.
現在では,いくつかの異なる base theory が提案されている.(Simpson/Smith らに
よる $\rm RCA\sp *\sb 0$,Ferreira らによる $\rm BTFA$ など.)2つ目として,
これまでの「二階」ではなく「有限タイプ」の算術の枠組みの中で逆数学を行おうと
いう試みがある.(U.Kohlenbach による higher order reverse mathematics.)
 本講演では,これら逆数学周辺についての最近の話題を具体例をあげて概説する.
また,パラメータの無い $\Sigma\sp 0\sb 1$ 内包公理等を考えて,先の B/W の定
理についての結果の再考の試みも紹介したい.
----------------------------------------