2004年度卒業論文要旨集の発刊にあたって


本年度の卒業研究発表会と審査会が無事に終わり,今年も卒業論文要旨集を刊行する運びとなりました.卒業研究は四 年にわたる学業の最後の仕上げであり,その成果が本要旨集に凝縮されています.書き上げた四年生は一つの仕事をや り終えた充実感にひたっていることでしょう.熱心にご指導いただいた教員各位,卒業研究発表会委員, その他関係者 各位のご努力に対し深く感謝したいと思います.

卒業研究の指導にあたって,私たちはつぎの点を特に重視してきました. まず,これまでの講義と実習・実験では受身的な学習が中心であったのに対し,自主的に調査研究することです.研究 の課題は教員から与えられ,研究の方法も教員から指導されたのであっても,自らの頭で考え,自らの手足を動かして 研究を進めたものと思います.このように与えられたものに自らの創意工夫を加えて行くうちに,研究の最終段階に なって学問とは何かがわかって来て興味が深まり,もっと研究を続けたいと思うようになった人がいるのではないで しょうか.あるいは,こんなに楽しい研究なら初期段階でもっと努力をしておくのだったと反省している人がいるかも 知れません.このような学生が多ければ本学科の卒業研究の目的はほぼ達成されたと言えると思います.

つぎに,論文の書き方の作法についてです.「である」体で書く,図と表を適切に描く,アルファベットや数字は半角 で書く,参考文献のデータの落ちが無い,先行研究との比較により問題点の指摘を行う,などの15項目を要求し,中間 発表会と最終発表会で採点を行いました.新カリキュラムでは情報表現論の講義の中で論文の書き方を教えますが,今 年の四年生には卒業研究において指導することにしたのです.指導の初期には論文執筆が初めての学生諸君のひどい書 き方に驚き,悲しんだこともありました.本要旨集の体裁はほぼ整っていると思いますが,これはひとえに各教員の指 導の賜物であると思います.

最後に,プレゼンテーションの準備についてです.発表の巧拙によって,同じ研究内容の発表でもその評価の優劣は分 かれます.スクリーン上の文字は会場後方からも読める十分な大きさであるか,時間内に内容を要領よくまとめて研究 の核心の理解を得られたか,などを要求しました.

本要旨集は審査会で合格した卒業研究の要旨をまとめたものです.Web 上に公開することにしています.執筆した学生 の皆さんは生涯の良い記念としてください.また,本学科外の皆さんも一読いただき,私どもの教育研究のあり方にご 理解をいただければ幸いです.


2005年3月7日
情報通信学科長 稲垣 直樹