2003年度卒業論文要旨集の発刊にあたって


数理情報学部が設置されてから4年がたち, ようやく卒業生を送り出す年になりました. 情報通信学科ではその当初から, 卒業研究指導に重点を置き, 水準の高い論文を4年間の勉学・研究の成果としてまとめることを 目標にやって来ました. この冊子は, 個々の卒業論文の要旨を集めたもので, 卒業研究に本学科の学生や教員が投資して来た 時間や労力, 知的活動の成果の一部です. このような要旨集が発行できたことに対して, 要旨原稿を書いた4年生, 指導教員, 卒業研究発表会委員, その他関係者に感謝したいと思います.

卒業研究で論文を完成させるまでの過程では, 4年生は皆, それぞれに, そして, それなりに, 苦しい時間を過ごしたことと思います. 大学に泊り, 少ししか眠らずあるいは徹夜で 研究したこともたびたびあったことでしょう. 研究に真剣に取り組んだ人の中には, 他の人から見たら小さなことかも知れませんが, 生まれて初めて自己実現ができた人もいるでしょう. あまり, 真剣には取り組まなかった人でも, 中間発表, 論文執筆, 最終発表を通して, それなりの充実感は得られたことでしょう. 我々は, 好運なのかも 知れません. と言うのは, 我々の学科でやっているような理工系の 研究は比較的自己実現を完結させやすいものかも知れないからです. しかし, そのことには関わらず, 多分, ほとんどの卒業生は, この何ヵ月かは, これまでないと言うぐらい "ちゃんと"勉強をしたことでしょう. 私達は, 何人かが本気で1つのことを成し遂げようとする 姿を見る事ができました. あなたたちの, この経験は将来に必ず役立つものになります. 本気が出せた人は, それを大きくして行って下さい. 本気が出せなかった人は, 今度こそ本気になって下さい.

あなたたちは, 第一回の卒業生です. 学科の教育成果を外部から評価される最初の人達です. 4年間を通して得た, 技術や知識, 卒業研究で扱った内容も大切ですが, あなたたちが卒業研究を通して得た 目に見えない力をもって, 社会で活躍してもらえることが情報通信学科教員一同の誇りとなるでしょう. これからも, 胸を張って, 前を見て, 頑張って生きて行って下さい. 知識と技術はどちらが大切かと尋ねられて, 覚えることと考えることはどちらが難しいかと尋ねられて, 自分の意見をもって答えられるように.


2004年3月7日
情報通信学科長 野呂 昌満